プロジェクト

美しい聖地竹ヶ島の大自然を守る

竹ヶ島は国定公園内にあり、島の頂上に向かって「四国の道」と呼ばれる散歩道があります。ところが、高齢化、過疎化の影響で島に人が訪れなくなり、整備もおぼつかなかったことから、島全体がいつの間にかジャングル化していました。頂上は古代の狼煙台であり、せっかく太平洋が一望できるはずが、樹木と雑草林が長年にわたり放置されて頂上周囲を覆ってしまったため、全く海を見ることができなくなりました。また、倒木や枯れ木、落石により「四国の道」が塞がれたり、樹木が勝手に伐採されて木の幹が至るところに放置されたり、雑草と蔓にまみれ、虫や蛇のたまり場となっていたのでした。人が安心して訪れることができる、本来あるべき美しい島の在り方とはほど遠く、変わり果てた姿になっていました。

竹ヶ島は国定公園内に存在することから、本来は徳島県が島のメンテナンスをすることになっています。しかしながら、国定公園の守備範囲は広く、人が訪れない島のメンテナンスまでする予算と余裕は徳島県にはありません。そこで竹ヶ島を綺麗に、美しくするため、2015年から5年がかりで島を掃除するプロジェクトがボランティアの協力を得て始まりました。その結果、四国の道はきれいに掃除され、倒木も片付けられ、島内をどこでも安心して歩けるようになりました。また、竹ヶ島が誇る中心部の竹林が雑草と杉の倒木によって荒れ果てていたことから、竹林周辺の整備も行われ、竹林が本来の美しい姿を取り戻すことができました。

竹ヶ島の美しい大自然を守り、いつでも人々が安心して訪れることができるようにするためには、定期的に島を整備し、管理する人やチームの存在が必要です。ボランティアに限らず、今後は行政の理解と協力を得ながら、竹ヶ島を自然の姿のままに保全し、より多くの人が島の美しさに触れることができるようにしたいものです。その対策の重要性に気づくためにも、まず、竹ヶ島の素晴らしさと、由緒ある歴史の存在を知ることが大切ではないでしょうか。

過疎化と少子高齢化

由緒ある古代の聖地として、竹ヶ島神社の奥宮となる磐座も今日まで温存されてきた竹ヶ島だからこそ、いつまでも太平洋を見渡す大自然の中に、輝かしいオーラを放ってもらいたいものです。しかしながら島を整備するための人手は恒久的に不足し、現実の問題は山積みです。

徳島県と高知県の県境にある竹ヶ島周辺の地域では過疎化が進み、他の町と同様に、少子高齢化の波が押し寄せています。そしてこのままでは20年後、島の人口がゼロになる可能性があります。既に竹ヶ島を訪れる観光人口も激減しており、海陽町が運営するマリンジャムも来客数が減っています。昨今では島内の「四国の道」を散策する旅行者は、月、数名にもならないほどであり、対策が急務となっています。

この流れを変えるためにも、竹ヶ島の美しさと神秘性について、継続してメッセージを発信していくことが大切です。比類なき美しい竹林の存在、聖なる磐座に纏わる信仰の歴史、島の中心に向けて作られた8段のテラスなど、竹ヶ島は多くのロマンに満ちています。その素晴らしい竹ヶ島の姿に少しでも多くの人が触れることができることを願ってやみません。